きのこの妖精 -6-
「ママ、ビックニュースだよ。すごいよ!すごいよ! 」
「なにー? どうしたー? 」
お気楽な私の返事に、不満気な様子のカズヤ。
「だから! いたの! 妖精! きのこの妖精! 」
「ちょっと、また何言っているの? 」
この頃の私は、カズヤの言葉を信じたいという気持ちもありながら、動くはずのないものが動く、いるはずのないものがいるという証言に、やはりこの子は心の病気なのかもしれないという思いを強くしていました。
「ちゃんとみたよ。ほんとだよ。フェンスの外から校庭の中にピョンピョンしてきてね」
「あのね。わかっているとおもうけど、きのこってピョンピョンしないから」
そうは言いながらも、私はキノコがピョンピョンしているところを想像して思わず笑ってしまいました。
「僕ね。それを、みてないふりしてたの。気付かれないようにこっそりみてたら、ぼくのすぐ近くを通って、そのまま靴箱のところから校舎に入って行っちゃったの」
そのキノコは自分の30cmぐらい、すぐ脇を通っていたと言うカズヤ。そして、そんな近くのものを見間違えるはずがないというのです。
本当なの? 私はもし本当にいるならば…とふと気になったことを聞いてみました。
「でもさ、そんなことしていたらキノコ、みんなにみつかっちゃうじゃない。学校中大騒ぎだよ」
「それがさ、みんなは、みえてないみたい。みんな気にしてなかったよ」
うーん。まさかとおもうけどホントにカズヤにはそんなものが見えているの?