猛獣の住む?町 再び -4-
翌日、ドン、ガチャガチャと大きな音がして
「ママ。ライオン! 今日もいた!!!」
カズヤはそう叫んで入ってきたのです。
「カズヤ、それはライオンじゃないでしょ、フサフサした犬だったんじゃないの?」
私はフサフサのゴールデンレトリバーかしら?なんて考えながら、ライオンと犬の違いを説明しはじめます。
「ママ、立髪あったよ。派手なの。あとね。ライオンの背中に、キノコと葉っぱが乗っていたよ!」
え? きのこ? 葉っぱ? いくら話を聞いてもわからないので、私はカズヤに紙を渡し、今みたものを描くようにいいました。
…
なにこれ💦
カズヤが描いたものには確かに立髪らしきものがあり、そのライオンモドキの背中には葉と、キノコがのっています💦
「カズヤ、ほんとにこんなのいたの? 最近変なことばかり言ってるけど、うそはつかないでね。」
心の病気? 虚言癖? という考えが一瞬頭をよぎります。もしそうだとしたら、あまり責めてはいけない? でも嘘をつくことで他人を傷つけたり、嘘をつく人間だと思われ、信頼を無くすことはちゃんと伝えたい。
「カズヤ、小さい頃、狼少年の話をしたよね。羊飼いの少年が嘘をつき続けた話」
「うん。本当に狼が来た時助けてもらえなかったんだよね」
「そう。それは物語だけど現実もそうなの……。」
このところ、不思議なことを言い続けるカズヤ。どんなに話し合っても、カズヤは本当だと言うのです。
カズヤの言葉を信じたいと思いながらも、私はどうしてもこのことを信じることができなかったのです。